緑町 いづみ書房
本、雑誌を扱うリサイクルショップは古書店の領域を大いに脅かし、今では山形市内では
個人経営の古書店はほぼ見られなくなった。しかし、リサイクルショップと古書店は
似て非なるもので、取って代わることのできない部分が大きかったのである。
緑町四辻よりホテルオーヌマ方面を望む 昭和初期の本さえ置いてあった いづみ書房
古い本が醸し出す時代がかった空気の中で、何を探すでもなく積まれた本の中から1冊を手に取る。
本には赤い傍線が引いてあったり、元の持ち主の蔵書印が押されていたりする。
几帳面な元持ち主は、その本を手に入れた日付まで書いてあることもあり、それが自分の生まれる前であることも珍しくなかった。
単に本や雑誌という紙の束を買うのではない。そこに染み込んだ年月を手に入れるのである。