コープ桜田(桜田生協)旧店舗

 

 

コンクリートの巨大な建物が姿を現した時、いつまでも灰色のコンクリート色のままで

塗装されないその姿に「完成がだいぶ遅れているな」と思ったものだったが、この建物は

生協としてそのままの姿で営業を始めた。「コンクリート打ちっぱなし」という当時の

流行の工法だと知ったのは、そののちのことだった。

 

 

この建物は正面のほか、屋上に駐車場を設える設計で、乗降用の大きなスロープを備えていた。

山交ビルなど、他にもそうした例はあったものの、生協としては大きな投資がされていたと思う。

 

 

   

 

食料品を中心として、衣料、雑貨、子どもの遊戯施設、飲食店、のちにはリサイクルショップが入ったこともあり、

洗濯機などの大型家電さえ置いていた。クリスマスにはサンタさんが現れ、子どもの相手をしてくれていた。

ベビールームなど、当時のショッピング施設としては先進の部屋も設けられ、子供連れの客への配慮もみられた。

 

 

   

 

  

 

    

 

 

大いに地域に受け入れられていた桜田生協であったが、無粋ながらも頑丈に見えた

コンクリート打ちっぱなしの建物が耐久性が低かったのか、維持費が大きかったのか

他のスーパーとの競合が影響したのか、2013年に閉店の報が入る。

 

  

 

独自のラジオ番組さえ持ち、固定の生協愛好者も多い中でこの決定は

多くの人々にとってショックなことであった。しかし、同時に単なる建て替えであり、

心配することはないのではないかという話も流れ、消費者は迷っていた。

 

はたして巨大なコンクリート建築が撤去されてしまうと、注文販売などの生協の一部機能は

若干南側にあるプレハブで代行するようになり、跡地には明正高校バス駐車場ができた。

 

生協再建の話は単なる噂だったのかと、生協愛好者はがっかりし、あきらめているようだった。

しかし、9年ほどの時が流れたころ、どうやら本当に生協が建つらしいと言われ始め、実際に

建造も始まった。そして撤去から10年を経た2023年にかつての建物のような規模ではなかったものの、

機能を絞ったうえで満を持して生協は再び営業を始めたのであった。

 

桜田生協旧店舗 1990年前半ごろ〜2013年

 

 

 

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