味の ほかほか弁当

 

 

温かい弁当店がブームになったころ、ほかほか弁当、ぽかぽか弁当、ほっかほっか亭、かまどやなど

多くの弁当店が旗揚げした。コンビニの本格的普及の前だったこともあり、温かい弁当は貴重で珍しがられ、

食堂の売り上げが大きく落ち込むほどの集客力を見せたのであった。

 

文翔館東側の通りに位置していた

 

しばらくは弁当戦国時代が続き、互いに似通った名称が乱立したこともあり、会社同士のいざこざ等も

あったようだが、安く早く温かい携帯可能な食事は勤め人や学生に大いに受け「ほか弁」の略称も定着した。

 

 

 

やがてどの業界にもあるように市場が落ち着いてくると淘汰が始まっていくつかの大手の

弁当店に集約される動きが見えてきた。その中で、文翔館横にあった「味のほかほか弁当」は

独自の経営でサラリーマンや子供連れに親しまれていたようだ。

 

しかし、大きな出来事がこの店を襲うことになる。わずか10m先にあろうことか同業の

「ほっともっと」が開店したのである。「ほっともっと」は「ほっかほっか亭」の分裂騒ぎの結果生まれた

新ブランドで、出店を強力に進めていた。強気のあまり、この小さなローカル店舗さえ、ライバルとみなして

追い落としにかかったのだろうか。あまりの露骨な作戦に、何もそこまでしなくてもという思いもあった。

 

 

すぐ背後にライバル店が進出

 

 

それでも「味のほかほか弁当」は健闘、盛りの良さや店員の人柄からか、固定客は一定数あったようで

数年間はこの過酷な競争に耐えていたのであった。

 

 

 

 

しかし、2013年7月、競争の影響によるものかどうかは不明であったが「味のほかほか弁当」は閉店を

することになった。あとには顧客の送った花束、メッセージに感謝する筆書きの礼状が貼ってあった。

 

 

2013年閉店

 

話はそれで終わらず、「味のほかほか弁当」に隣接して開店した「ほっともっと」は

その後店舗配置の見直しにより撤退したのであった。いたずらにこの地にちょっかいを出さなければ

「味のほかほか弁当」は、まだ健在であったかもしれないと思わざるを得ない出来事であった。

 

 

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