現在ではインターネットで検索をかけても出てきもしない「鶴岡マーケット街」。
当時そう呼ばれていたものの、正式名称かどうかはわからない。
現地の看板には中央マーケット街と書いてあった。
大泉橋を渡って山王町から本町に入るとすぐ左に看板が見えていた。
内川に接する本町北端、周辺の商店より一段と古びた店の集まりだった。
衣料、魚、苗、履物、クリーニング、飲み屋などの店が軒を連ねた。
1990年代に入ってもなお、和服で出歩く人も少なからずいたのであった。
店頭で切り身を焼いて販売する。周囲に焼き魚のにおいが漂う。
徒歩でその日の食材を買い出しに行くのに向いた商店街だった。
車の通行に脅かされることなく、のんびりと買い物できる路地型商店街であったが
建物全体の老朽化と消防的見地、町の美観など様々な理由からマーケット街全体が
一括して消去されることになり、平成の初期には新しい街並みに更新された。
内川沿いから見た建物群
昭和の色濃い木造の店々は、後年あえて演出した街づくりによる
「昭和の街並み」などとは違った、本物の味わいを湛えていた。
鶴岡マーケット街 平成5年前後 再開発により消滅