17.仙台屋旅館

 

 

山形市木の実町の栄町通りに位置していた木造4階建ての老舗旅館。

 

 

    

 

2020年代になって、山形市の一方通行解消、道路拡幅政策は苛烈を極め、見慣れた建物の

容赦無い消去が日常のものとなった。これは30年前の国体前の状態によく似ていて、

情緒や歴史云々を語る暇なく一気の流れでやってしまおうという雰囲気である。

 

    

 

この流れの中、拡幅が決まった通りの老舗たちはその運命の終焉を告げられ、一つ、また一つと

その姿を永遠に隠していくのだった。仙台屋はリーズナブルな料金提示であったこともあり、

学生の合宿や大会参加の宿などにも大いに用いられるとともに、古来からのビジネス宿として

重宝されていたが、運命から逃れることはできず、2022年には見慣れたその姿を消していた。

 

      

 

通りが広くなろうと街の繁栄につながることはなかったということは、先行して行われた

市内各地の工事の結果でも明白になっている。両脇が駐車場とマンションになってしまった

だだっ広い道を、整備前より速く車が通り過ぎるだけの街が増産されたのである。

 

工事の進展につれ、栄町の名称が逆の様相を呈した時、これを街の発展と見做せるのだろうか。

 

      

 

山形に住んでいるがゆえに市民が仙台屋に泊まることはあまりなかったと思われるが

レトロ感のあるその内部の雰囲気が紹介されている動画があったので以下に紹介しておきたい。

https://www.youtube.com/watch?v=dfay7JhAXHY

 

 

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