パチンコBig1
パチンコ屋を見るとミツバチの巣箱を連想する。
働き蜂が外で稼いできた金銭(蜜)を、わざわざ自ら箱に持って入り、吐き出してしまう。
働き蜂は入れ替わり立ち替わり箱を訪れ、蜜を運び続ける。箱の主である業者は蜜を回収
することそのものを仕事にすればよい。
しかし、巣箱もただ放っておくだけでは蜜を満たさない。よりよい蜜を持つ花を見つけて
箱を移動したり、蜂の回帰率を高めたりする工夫が必要となる。パチンコ屋もそれは同じで、
条件整備がうまくいかなかった巣箱には、思うように働き蜂は集まらなくなってくるのである。
働き蜂とて、無栄養で生きるわけにはいかない。少しはいい思いをさせなければ働いては
くれない。パチンコ屋が働き蜂を惹き付けておくためには金銭的フィードバックがおこなわれている。
正式には景品のみの払い戻ししか認められていないパチンコ屋は、換金可能な特別な景品
という隠れ蓑を用いて間接換金をする。しかしこれだけ大っぴらになってしまっているこんな法無視の
システムを長い間そのままにしているというのも、法治国家としては面白い。もはや隠れ蓑でさえ無いのに。
お払い箱のマシンたちは無造作に冷たい雪の中に積まれていった。古いものでも
生産されて数ヶ月。運の悪いものは生産後間もなく廃棄の憂き目を見たことであろう。
内部の機械の廃棄と看板の取り替えが主な工事内容だった。建物は継続して使うようだ。
そして数ヶ月......同じ建物が「メダル製造工場」などというわけの分からないキャッチ
フレーズで再利用され始めた。パチスロ屋になったらしい。パチンコよりいいのか???
大変失礼ながら、人がパチスロをしているところを見ると、条件付け実験中の猿に見えることがある。
ボタンを一定の規則で押せば餌が出るという機械を猿に与え、マスターさせるという実験である。
餌が出ることを知った猿はひたすらボタンを押し続け、機械から離れない。まさに同じ景色が
店内に満ちあふれていることが異様に思えた。パチンコ以上の異様さであった。
こうして、蜂の群れは猿の群れに入れ替わっていった。
パチンコBig1 山形市青田南 〜2004年末