12.市内その他 8

 

 

パチンコBig1

 

 

パチンコ屋を見るとミツバチの巣箱を連想する。

働き蜂が外で稼いできた金銭(蜜)を、わざわざ自ら箱に持って入り、吐き出してしまう。

働き蜂は入れ替わり立ち替わり箱を訪れ、蜜を運び続ける。箱の主である業者は蜜を回収

することそのものを仕事にすればよい。

 

 

しかし、巣箱もただ放っておくだけでは蜜を満たさない。よりよい蜜を持つ花を見つけて

箱を移動したり、蜂の回帰率を高めたりする工夫が必要となる。パチンコ屋もそれは同じで、

条件整備がうまくいかなかった巣箱には、思うように働き蜂は集まらなくなってくるのである。

 

 

働き蜂とて、無栄養で生きるわけにはいかない。少しはいい思いをさせなければ働いては

くれない。パチンコ屋が働き蜂を惹き付けておくためには金銭的フィードバックがおこなわれている。

 

正式には景品のみの払い戻ししか認められていないパチンコ屋は、換金可能な特別な景品

という隠れ蓑を用いて間接換金をする。しかしこれだけ大っぴらになってしまっているこんな法無視の

システムを長い間そのままにしているというのも、法治国家としては面白い。もはや隠れ蓑でさえ無いのに。

 

   

 

 

お払い箱のマシンたちは無造作に冷たい雪の中に積まれていった。古いものでも

生産されて数ヶ月。運の悪いものは生産後間もなく廃棄の憂き目を見たことであろう。

 

 

  

  

  

 

内部の機械の廃棄と看板の取り替えが主な工事内容だった。建物は継続して使うようだ。

 

そして数ヶ月......同じ建物が「メダル製造工場」などというわけの分からないキャッチ

フレーズで再利用され始めた。パチスロ屋になったらしい。パチンコよりいいのか???

 

大変失礼ながら、人がパチスロをしているところを見ると、条件付け実験中の猿に見えることがある。

ボタンを一定の規則で押せば餌が出るという機械を猿に与え、マスターさせるという実験である。

餌が出ることを知った猿はひたすらボタンを押し続け、機械から離れない。まさに同じ景色が

店内に満ちあふれていることが異様に思えた。パチンコ以上の異様さであった。

 

こうして、蜂の群れは猿の群れに入れ替わっていった。

 

 

 

パチンコBig1 山形市青田南 〜2004年末

 

 

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