今は全く映画館のない上山であるが、かつて温泉街新湯に老舗の館があった。
しかし、隣接する山形市に林立する新興映画館に客足を奪われ、廃館の憂き目を見たのである。
新湯入口すぐにある
今は倉庫になっているようだ
市に1つだけの館ということで、ある時は「ドラえもん」を上映したかと思えば、
次には「濡れ濡れ***」などという成人映画を流すなど、おおらかというか
ごちゃ混ぜの、良くいえば広い需要に応えようとする上映方針だったようだ。
末期になるにつれ、温泉街ということもあり、ポルノ館としての機能が強調されてきた感もあった。
洒落たデザインの窓口
桟敷席もあり、ごろ寝で鑑賞できるという利点もあったらしい。
映画館脇で売る、たい焼きも評判だったようだ。
雰囲気のある建物であることから、映画のロケにも使われ、「紅い眼鏡」(1987)、
「トーキング・ヘッド」(1992)などの作品に登場するとのこと。
今でも堂々と街の一角を占める
寒河江や新庄など、それぞれの街にいくつもあった映画館は昭和末から平成にかけて
次々と倒れていった。その分山形市に集中して新興館が現れたが、今ではそれもまた
姿を消し始めている。シネコンと呼ばれる形式のスクリーンは客を集めているが、それ以外の
映画館は全くふるわない。そういえば、いつの間にか成人映画を上映する映画館など何処にも無くなっていた。